相続税対策
相続税対策が必要なのは多額の税金を納める資産のある人だけ、と思われがちですが、「相続」はすべての方に訪れるものです。
そして多くの方にとって経験もなく、予想もしていない事が次々と待ち受けているため、身内での揉めごとになりがちです。
相続に「争族」の文字がよくあてられるゆえんです。
争族対策、節税対策、納税対策、の3つの相続対策が有ります。
争族対策
「争族?うちは親子兄弟みんな仲が良いからそんなの心配ない」と思っている方も多いでしょう。
でも考えてみて下さい。今までみんなが仲良く出来ていたのは、もしかしたらあなたがいたからこそかもしれません。もしかしたら今まではお金に関する問題がなかっただけなのかもしれません。
しかし、財産という大きなお金が絡んでくると目の色を変えて自己の権利を主張する方たちが現れます。
本人だけでなく、それぞれの妻や夫が口を出してきます。それが発展するとやがて法廷での争いになります。ここまで来るともはや仲の良かった昔の親子兄弟関係には戻れませんね。
このように自分が残した財産のために醜い争いをし、家族関係が破綻してしまうケースが後を絶ちません。
親の心がけとして
- 誰に何を相続させるかを明確に(遺言書の作成)
- 子供や嫁の悪口は言わない(争いの火種をつくる)
節税対策
相続税は資産に課税されますから、その資産の性質を変えておくことで節税対策になります。生前贈与や土地活用の特例などを有効に利用して節税対策をします。
これには時間が必要ですから、死ぬ間際になってからでは遅すぎます。
健康なうちから考えておくことが重要です。
納税対策
納税資金を確保しておかないと、相続した土地を売らなければ相続税が払えないということもあると思います。
これは仕方のないことです。
しかし、土地を売ってなお足りない場合は深刻な事態となります。
そうならないように、生命保険などをかけておくなどして納税資金を準備しておきます。
生前贈与
生前に個人から個人への財産を無償で譲り渡す「生前贈与」は、自分の財産を、自分の意思でもって引き継いでもらいたい人に渡すことができます。
引き継いだ財産の評価額に応じて「贈与税」がかかってきますが、上手に活用すれば、財産の前渡しと、相続税を減らすという二つの効果が期待できます。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合に「相続時精算課税」を選択することができます。
暦年課税とは
贈与財産から基礎控除額110万円を差し引いて、その残りの額に対して所定の方法で計算したものが税額となります。
1年間の贈与額が110万円以下なら贈与税はかかりません。
ただし、110万円を超える贈与でも贈与税がかからないケースもあります。
それは、「夫婦の間で居住用の不動産や、居住用の不動産を取得するための金銭を贈与したときに配偶者控除を受ける場合」、「父母等から住宅取得資金等の贈与を受けたときの特例を受ける場合」などです。
また、法定相続人となることが見込まれる人が贈与を受ける場合については、2003年以降は、暦年課税に加えて、相続時清算課税が選択できるようになりました。
相続時精算課税
この制度は、生前贈与の受贈者(もらう人)が贈与時に贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産を合計した価格をもとにして相続税を計算する、そして相続税からすでに支払った贈与税を控除するという制度です。
すなわち、贈与税、相続税を通じた納税をする、つまり一体化するというのが、相続時精算課税制度の概要です。